温泉は、森に降った雨が地中にしみこみ、何十年も地球の中を旅して、また地上に湧いてくる地球の循環水です。マグマの熱や圧力など、想像を絶する環境をくぐり抜けてきた温泉は無条件に人を温め包み込み癒してくれる大自然の力そのものです。
そうした温泉水に感謝の思いを込め、また温泉の地球的循環を未来に向かって確保するためにも、当家の森を伐採して健全な森づくりを行っています。そのプロジェクトは「湯守の森」と名付けられ、伐採した木で板倉小屋を建てたり、様々な人が関わって進められています。
旅館大沼には、昔から赤湯と呼ばれる「純重曹泉」と透明な「含食塩・芒硝重曹泉」の2本の源泉があります。
それぞれPHは6.9と7.4、いずれも中世の肌にやさしい温泉です。特に赤湯の方は天然重曹成分が86%と突出しており、成分的にも全国有数の重曹泉に数えられます。お湯がとても柔らかいので、強酸性泉(秋田の玉川温泉など)で療養した後の仕上げに最適の温泉だとおっしゃるお客様もいます。
重曹泉は主に皮膚を乳化させ汚れを落とし肌をきれいにする清浄作用が特長で、湯上りは肌がしっとりしてすべすべになり美肌になります。当館の玄関には百年前から「婦人名湯」の看板が掲げられていますが、それなりに理由があります。
また、旅館大沼の源泉の大きな特長としまして体が芯から温まり血行が非常に良くなります。血行が改善されることにより体の痛みも軽減されます。また身体の新陳代謝も活発になりますので、自己の免疫力や自然治癒力が活性化され、さまざまな心身のトラブルに効果を発揮します。
旅館大沼に代々受け継がれてきた源泉は、まさに地球のエネルギーそのものであり、旅館大沼の命ともいえるものです。お客様にはその命の源泉を地中から湧いたままの状態で一切手を加えず、常に新鮮な状態で各浴槽に入れさせていただいております。いわゆる「源泉掛け流し」方式です。
浴槽の湯加減も一年を通じて全て湯量のみで調節しています。地中から湧き出す天然源泉を相手に四季の気温の変化、それに伴う人間の体感などに対応して常に浴槽を適温に保つことは至難の業です。