もうすぐ、桃の節句ですね。
桃の節句といえば、雛祭り。
皆さんのところでは、お雛様は飾っていますか?
最近では、住宅事情なども影響してお雛様を飾るのは難しいというようなお話も聞きます。
旅館大沼では、3つの雛飾りが飾ってあります。
一つは山荘に飾られている古いお雛様。
こちらは10年ほど前にお年を召した知人から、もう飾ることもできないとのでもらって
欲しいと相談され譲り受けたもの。

80年以上もの歳月、女将と同じくらい年を重ねてきました。細部にわたって作りこまれて
いるお雛様で日本伝統の技を感じさせてくれるものです。
もう一つは、湯治場のサロンに飾られているお雛様で当館に滞在されているお客様のお母さまが
作られたものだそうです。

お雛様の顔立ちも衣装もとても品が良く、娘さんへの愛情がたくさん注ぎ込まれていることが
伝わります。
3つ目は当館のロビーに飾られている7段飾りのお雛様。
今は亡き妹が幼い頃、彼女に両親が買ってあげたものです。

買ってあげた当時は妹に飾って欲しいとせがまれても旅館の仕事が忙しく、飾ってあげられなかったそうです。
妹が亡くなってから今年で30年になりますが、亡くなってからは毎年旅館のロビーに飾ってあげています。
全てのお雛様に、そのお雛様にまつわる物語があります。
それは、聞かなければわからないこと。
きれいに飾られているお雛様も、愛でてもらうだけでなく、今ここにいるまでの物語を聞いてほしい
のかもしれません。
そのお雛様だけが持つ物語を。