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「町のいろ」 – 旅館大沼
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「町のいろ」

このたび、84才の誕生日を迎えた母は寅年生まれの年女。

若いころからものを書くのが好きで、詩作を現在も行っています。

先輩の旅館で、まちづくりの話をしていた時、「しんちゃん!最近昔の資料を整理していたら、しんちゃんのお母さんに依頼して書いてもらった詩が出てきたよ」と当時の瓦版のコピーをいただきました。

日付をみると1990年5月とある。

32年前の瓦版だけあって、白かった紙は時を経て茶色になっていたそう。

この詩を書いた当時、母はまだ52才。今の私より随分と若い。

とにかく旅館は忙しい。特に女将は忙しい。

彼女は詩を書くことで、そんな忙しい毎日にリズムをつけていたのかもしれません。

そういえば昔、鳴子の風景にに自分の詩を載せた写真をハガキに貼り付け、お手製のポストカードを作りお得意様に出して、喜れていた時期もありました。

何十年と書き続けた彼女の詩は膨大なものになるでしょう。

そんな母の詩を、たまにこのブログで紹介させていただこうと思います。

1990年5月 鳴子・楽郷の会の瓦版に寄せた詩です。

「町のいろ」                     大沼安希子

坂の町

鳴子の町

巧みに走る枝道は

曲がりくねり

のぼりつめる

裏通りには抜け道がある

そこを折れ曲がれば

温泉街

その道を登りつめれば

潟沼へと続き

フクロウもいる

裏通りには

暮らしの匂いが漂っている

渡り廊下のような

狭い道をはさんで

人情の揺れ動く

湯の町がある

裏通りには

細い川が流れている

裁ち目のない一枚の布のように

湯治場の歴史をつつんで

流れてゆく

川だ

町を知っているから

裏通りにはあかるい

その道を歩く人の影が

ながく

のびていた

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